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自然と共生する旅のカタチ。フィリピンが力を入れる「サステナブルツーリズム」とは?

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コラム
2020年05月18日

自然と共生する旅のカタチ。フィリピンが力を入れる「サステナブルツーリズム」とは?

昨今、グレタさんというスウェーデンの少女が地球温暖化によるリスクを訴え、気候変動や環境問題が話題となっている。
 
2018年、気候変動の影響を最も受けたのは日本だった。日本に次ぐ2位はフィリピン。豪雨や台風による甚大な被害があったことが、今回上位にあがった理由だ。(参照元:Germanwatch『Global Climate Risk Index 2020』)
 
遠い未来のことのように感じていた、環境汚染や気候変動による歪みが、リアルに国の経済状況や私たちの生活を脅かすようになったのだ。脅かすというと、まるで私たち人間は被害者というように聞こえるが、引き起こしたのは人間の経済活動だ。
 
他人事にできなくなった今、私たちの生活は自然との共生を考えたスタイルに変化させていかなければならない
 
私は、こういった自然との共生に関するリテラシーは、フィリピンの方が日本よりも進んでいると感じている。具体的な取り組みを国が仕切っておこなっているからだ。フィリピンが特に力を入れているのが、観光について整備をおこない、環境問題や不平等によるひずみを減らしていくこと、「サステナブルツーリズム(持続可能な観光)」の発展だ。あなたは、旅や観光が環境破壊などの社会課題を生み出していると考えたことがあっただろうか?
 
観光は、想像以上に環境や地域に負荷をかけている
 

 
観光の発達は、その国や地域における、強い経済力になる一方で、地域社会の文化や秩序、環境の破壊をもたらすケースも多くある。例えば、景観配慮がないまま高級ホテルが乱立したり、観光客が捨てるゴミによって自然が汚染させるなどといったことがあげられる。多くの人が、日焼け止めを塗って海に行ったことがあると思う。その些細な行動さえも、珊瑚を破壊するなど、環境汚染に影響しているのだ。
 
また、世界全体の二酸化炭素排出量の8%は観光による排出とされている。(参照元:JTB総合研究所
 
観光は多くの社会問題を生み出しているからといって、観光や旅をしなくなったら、経済がもたなくなる。だからこそ、重要なのは「バランスの取れた観光」なのだ。
 
新しい旅のスタンダード、サステナブルツーリズムとは?
 

 
国連世界観光機関駐日事務所によると、サステナブルツーリズム(またはサステイナブルツーリズム)とは以下のように定義されている。
 
持続可能な観光とは、現在と未来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮し、訪問客、企業、環境、受け入れ側の地域のニーズに対応した観光のことです。
(引用元:国連世界観光機関駐日事務所

 
フィリピンでは、具体的な取り組みがおこなわれている。
 
2018年、フィリピン観光省は国内で最も人気とされるビーチリゾートであるボラカイ島を半年間閉鎖し、環境保全を目的に、汚水処理の整備やルールの変更、大規模なビーチの清掃をおこなった。半年間、観光客の立ち入りを禁止することは、経済的打撃を受けるにもかかわらず、地元住民に補償をおこないながら、長期的に環境を保護するための対策を打った。現在はビーチでの飲食販売の禁止や使い捨てプラスチックを禁止するなど、環境に配慮したルールを整備して、新たに生まれ変わった観光地として変わらない人気を誇っている。この取り組みは、日本のツーリズムアワードで賞を獲得するなど、各所で高評価を得ている。
 
私も閉鎖解除後にボラカイ島を訪れたが、入島前に色々なルールの説明があったり、分別が可能なゴミ箱が色々な箇所に置いてあったりと、これまでにない整備がされた島となっていた。おかげでビーチは美しく保たれていて、自然と人間の歩み寄りによって、行き過ぎない観光は実現できるのだと実感した。
 
フィリピンのスタートアップの取り組みや世界の動きはいかに
 

 
フィリピン発のスタートアップもサステナブルツーリズムに取り組んでいる。
MAD Travelは先住民族の村訪問や文化体験を通して、不平等を強いられた先住民族の人々に雇用を生み出している。Bambikeは竹を使った自転車を、貧困層コミュニティとともに作り、それを利用して、二酸化炭素を排出しないサイクリングツアーを提供している。Traluluはローカル体験ができるプラットフォームを運営しており、ローカルのガイドと旅人を繋ぎ、文化やローカルを発信し、支える仕組みづくりをしている。
 
ホテル予約サイト大手のBooking.comは、サステナブルツーリズムに携わるスタートアップを支援している。(参照元:Booking.com)航空券比較サイトを提供するスカイスキャナーは、持続可能性というワードを含むミッションを設定して、ブランドリニューアルをおこなった。(参照元:Skyscanner
 
世界は持続可能な観光に向けて、動いている。日本ではサステナブルな旅に興味を持つ人は増えているものの、実際に行動できている人は少ないようだ。(参照元:Booking.com
 
私たちは「何もしていない」だけで悪影響をもたらす
 

 
フィリピンは7000の島で構成される国で、気候変動や環境保護が、直接影響してくる。国今後に関わる問題だ。日本もまた、その影響を受けやすい国であることは間違いない。
 
少しだけ、1人1人が意識を変えたり、選択を変えるだけで、環境や社会のためにより良い旅行ができる。エコホテルと呼ばれる宿泊先を選んだり、リサイクル可能な分別をしたり、排出した二酸化炭素を相殺するために旅先で植林ボランティアに参加するなど、小さな一歩ではあるが、できることはたくさんある。
 
今の私たちの生活は、悪影響を及ぼそうという意識がなくとも、知らない間に悪影響をもたらしてしまっていることが多すぎる。つまり、「何もしていない」だけで問題を生み出しているのだ。ライフスタイルを180度変えることは難しいかもしれない。しかし、1人1人がちょっとしたアクションが起こしていけば、少しは世界を良い方向に傾けられるのだ。